中学校生活で「教室に行きづらい」「今の環境が合わない」という悩みがあっても、転校は受け入れ先の空きや制度上の制約もあって、なかなか実現させるのが難しいことも多いでしょう。
一方、転校以外にも学び続けるための選択肢はあります。
13歳からの進路相談 著者
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本記事では、在籍校は変えないままで学びの環境を変える5つのパターン(校内教育支援センター、通級による指導、特別支援学級、教育支援センター、フリースクール/ICT活用)を紹介し、中学校ならではのポイント(定期テストや内申点、進路、ICT活用、部活動など)について、書籍『13歳からの進路相談』著者であり、通信制のユイロ高等学院 学院長の松下が、解説します。 |
目次[非表示]
パターン1. 校内教育支援センター(学校内の別室サポート)
パターン1は、校内教育支援センターです。校内教育支援センターは、在籍校に設けられた別室での学習支援の場です。各自治体で名称や運用は様々ですが、多くは教室に入りづらい生徒のために学校内に居場所兼学習スペースを用意し、担任やスクールカウンセラーらと連携して日々の課題に取り組みます。
中学校ならではのポイント
学校に通える生徒に適した選択肢であり、「朝だけ別室で落ち着いてから授業へ参加」などの利用も可能です。一方で定期テストについては、希望すれば別室で受験するなどもできます。
日々の提出物やテストへの参加状況が評定(内申点)に影響するため、評定を確保しておきたい場合には、担任と相談しながら何をすれば評価につながるのかを確認しておきましょう。また、同じ学校に籍があるので、部活動や学校行事への部分参加も検討できます。
パターン2. 通級による指導(部分的な通級指導教室の利用)
パターン2は、通級による指導(通級)です。通級による指導は、普段は在籍する通常学級で学びながら、週に1~2コマ程度、特別な指導の場(通級指導教室)で個別または小集団の指導を受ける仕組みです。
対象は発達障害や言語障害など軽度の障害や困難がある生徒で、必要な特別指導を受けつつ原則クラスに在席します。
中学校ならではのポイント
通級は通常の授業への参加が基本のため、長期間学校を休んでいる状態では適用が難しく、まずは別の居場所確保を優先すべきケースもあります。
対象となるには教育委員会等の審査や保護者の申請が必要で、中学生から新たに利用を始めることも可能です。
通級利用中もホームルームや定期テスト、行事には通常通り参加できるため、評定は基本的に通常学級と同じように評価されます。部活動も在籍校で継続することもできます。
パターン3. 特別支援学級(学校設置の少人数クラス)
パターン3は、特別支援学級です。特別支援学級は、発達障害や知的障害など特別な支援が必要な生徒向けに、同じ学校内に設置された少人数制の学級です。
生徒の障害種別や状態に応じて個別最適化されたカリキュラムで指導を行い、必要に応じて通常学級の生徒との交流学習も取り入れます。
中学校ならではのポイント
継続的な専門支援が受けられる反面、在籍クラスを通常学級から変更する正式な手続きが必要です。
主に診断や専門機関の判定を経て入級します。学習評価は特別支援学級の教員が生徒の習熟度に合わせて行い、高校入試の際は調査書(内申書)にその評価が記載されます。
一般の高校を受験する場合、特別支援学級での学習内容では範囲が限られることもあるため、希望進路によっては追加の学習支援が必要です。
部活動については体調や特性に応じて参加可能です。
パターン4. 教育支援センター(適応指導教室など公設の相談施設)
パターン4は、教育支援センターです。教育支援センターは、学校外に設置された公的施設で、不登校傾向の児童生徒が安心して通える学びの場です。
「適応指導教室」などとも呼ばれ、自治体の教育委員会が運営します。専任の指導員のもとで学習支援や生活リズムの立て直し、体験活動を行い、学校への復帰支援や今後の進路相談も担います。
中学校ならではのポイント
学校に行くこと自体にハードルがある生徒に適した選択肢で、登校せずともセンターに通うことで生活リズムや対人関係のリハビリができます。
公的施設であるため、一定の条件下ではセンターに通った日数を在籍校の出席扱いにすることも可能です。
ただし定期テストや成績評価については在籍校との連携が必要で、希望すればセンターで特別テストを受けたり、別室受験を手配してもらえる場合もあります。
中学校の卒業自体は出席日数に関係なく可能ですが、高校受験を見据えるなら必要な学習範囲をセンターや家庭学習で補うことが大切です。
パターン5. フリースクール/ICT活用(民間施設や在宅オンライン学習)
パターン5は、フリースクールやICT活用です。学校以外の民間のフリースクールに通ったり、在宅でオンライン教材やオンライン授業を受けたりする選択肢もあります。フリースクールは法律上の学校ではありませんが、不登校の子どもたちに学びや居場所を提供する民間施設です。
中学校ならではのポイント
フリースクールやオンライン学習を利用する場合、在籍校との連絡と合意形成が重要です。文科省の通知により、一定の要件を満たせば民間施設で過ごした日も校長判断で出席とみなすことができます。
実際、不登校中でも教育支援センターやフリースクールで定期テストを受けることも可能です。
ただし、フリースクール自体では成績評価(評定)は行われないため、在籍校でテストや課題提出をしないと内申点はつきにくく、高校入試では学力試験一本勝負になりがちです。
そのためオンライン教材で主要教科の学習を継続したり、必要に応じて在籍校のテストを受けたりすることが望まれます。部活動に関しては所属が難しいですが、フリースクールによってはリアルに体験できる様々な活動やオンライン交流イベントが用意されていることがあります。
*1 「校内教育支援センター(SSR) 設置・運営の手引き」新潟県教育委員会
この記事を書いた人

13歳からの進路相談 著者/ユイロ高等学院 学院長
1993年生まれ。福岡県福岡市在住。一児の父。株式会社ユイロ代表取締役社長。著書『13歳からの進路相談』シリーズは累計 16,000部突破。続々と重版されてロングセラーとなり、全国の学校や市区町村の図書館で多数採用されている。
学生時代は早稲田実業学校高等部を首席で卒業し、米国へ留学。その後、早稲田大学政治経済学部を卒業。やりたいことではなく偏差値を基準に進路を選び後悔した経験をきっかけに、大学在学中に受験相談サービスを立ち上げる。これまでに寄せられた中高生からの相談は10万件を超える。大学卒業後は教育系上場企業とコンサルティング会社で勤務。
2022年に株式会社ユイロ創業、代表取締役に就任。一人ひとりが自分らしい進路を選べる社会を目指し、「
ユイロ高等学院(通信制)」を創立。「学校のふつうをなくした選び直せる学校」を掲げ、全国の高校から転校生を受け入れ。高校卒業だけではなく、その先のキャリア支援も行っている。
著書:『
13歳からの進路相談(すばる舎)』、『
13歳からの進路相談 仕事・キャリア攻略編(すばる舎)』(紀伊國屋書店 総合週間ランキング 玉川高島屋店1位、新宿本店2位)
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