「通信制高校へ転入したい」「一度高校を辞めたけれど編入し直したい」とお考えの方もいるでしょう。
通信制高校への転校は全国の公立・私立問わず可能であり、自分に合った環境で学び直すチャンスになります。
ただし、手続きの流れ・必要な書類について正しく理解しておくことが大切です。
13歳からの進路相談 著者
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本記事では、文部科学省など公的機関の情報も参照しながら、通信制高校への転入・編入の手続きの流れや転入と編入の違いを、書籍『13歳からの進路相談』著者であり、通信制のユイロ高等学院 学院長の松下が解説します。 |
転入と編入の違いとは?
まず、新たな高校へ入学する方法として「転入」と「編入」の2つの制度があります。それぞれの制度的な定義と注意点を確認しましょう。
転入
現在在籍している高校から退学せず、そのまま籍を別の高校へ移すことを指します。今通っている高校に在籍したまま通信制高校へ転校する形です。
転入の場合、高校卒業に必要な在籍期間(3年間)を途切れさせずに引き継げるため、同じ年齢の同級生と一緒に卒業を目指しやすいというメリットがあります。
在籍校で取得済みの単位は基本的に新しい学校へ引き継ぐことが可能で、例えば前の学校で1年次の単位を修得済みであれば新しい通信制高校では2年次からスタートできます。
編入
すでに前の高校を中途退学した後に、別の高校に入り直すことを指します。一度高校を辞めた人が通信制高校に再入学する形です。
以前の在籍校で取得した単位は、新しい学校が認めた範囲で編入時に引き継ぐことができます。ただし、編入では一度高校在籍に空白期間が生じるため、転入と比べて卒業時期が遅れやすい点に注意が必要です。
特に前の高校を高1の途中で辞めて単位を取得しないまま退学した場合は、編入による途中年次からの入学はできず改めて「新入学」(1年次から入学)扱いになります。
いずれの場合も、前籍校で修得した単位は新しい学校で「同等の内容」と認められれば引き継ぐことができます(*1)。この単位互換の仕組みは文部科学省の定める単位認定基準に基づいており、基本的に高校で取得した単位は全国どこの高校でも有効です。
通信制高校への転入手続き:準備から入学までの流れ
続いて、通信制高校へ実際に転入・編入するまでの一般的な流れを4つのステップで解説します。
公立・私立を問わず全国で共通する手続きですが、学校種別や地域によって細かな日程や要件が異なる場合もあるため、各校の募集要項や教育委員会の案内も確認するようにしましょう。
ステップ1. 学校選びと情報収集
まずは転校先となる通信制高校を選ぶために情報収集を行います。
通信制高校と一口に言っても、公立と私立、学校ごとに募集時期や入学条件が異なります。
私立は年間を通じて柔軟に転入を受け付けているケースが多く、募集時期が長めに設定されていることも特徴です。
一方、公立の場合は各都道府県で定められた時期(例えば4月当初や10月など)に募集・選抜が行われることが多いため、希望する場合は各教育委員会の発表する日程を確認する必要があります。
興味のある通信制高校の資料請求や学校説明会への参加を通じて、募集時期・転入枠の有無・学費などの情報を集め、自分に合った学校を絞り込みましょう。
ステップ2. 必要書類の準備
行きたい通信制高校の目星がついたら、出願に向けて現在(または以前)在籍していた高校から必要書類を取り寄せます。主に次のような証明書類が必要です。
- 成績証明書 – これまでに履修した科目と取得単位が記載された書類
- 在籍証明書 – 在籍期間や退学日を証明する書類
- 単位修得証明書 – 修得済みの単位数を証明する書類
- 転学照会書 – 転入先に、受入可否を照会する書類
これらの書類は現在通っている高校の事務室や教務課に依頼して発行してもらいます(既に前籍校を退学している場合でも、卒業生・中途退学者向けに発行手続きを取ることができます)。
発行に時間がかかることが一般的なので、志望校の出願締切に間に合うよう早めに準備しましょう。
ステップ3. 出願と選考(試験・面接)
必要書類が揃ったら、いよいよ転入先の通信制高校に出願します。
願書の提出時期や方法(郵送かオンライン出願か等)は学校によって異なるため、募集要項をよく確認してください。
前述の通り、随時転入を受け付けている学校もありますが、4月入学や10月入学のように区切りの時期は出願期間が集中する可能性があります。
出願時に提出する主な書類は、ステップ2で準備した証明書類一式に加えて次のようなものがあります。
- 入学願書
- 写真(直近3か月以内に撮影した証明写真)
- 志望理由書や作文
- 受験料の振込証明書
提出後、通信制高校ごとの選考方法に沿って入学試験や面接が行われます。面接では「どうして転校したいと考えたのか」などの基本的な質問にはスムーズに答えられるようにしておきましょう。
ステップ4. 合格発表と入学手続き
選考に合格したら、いよいよ新しい通信制高校への入学手続きを行います。合格通知に記載された期限までに入学に必要な書類提出や初期費用の納入などを済ませましょう。
現在在籍中の高校から転校する場合は、入学手続き完了後に今の高校で「退学の手続き(転学届の提出)」を行います。新しい学校の入学日と現在の学校の退学日が連続するよう調整することが大切です。
編入(既に退学済み)の方はこの手続きは不要ですが、前籍校で取得した単位が正式に新しい学校で認定されるのは校長先生による審査を経てから(*1)となります。
以上が通信制高校への転入・編入の一般的な流れです。転校先探しから入学までやることは多いですが、一つ一つ準備を進めれば大丈夫です。
通信制高校への転入・編入は“高校生活の再スタート”です。在籍校が合わず悩んでいる方にとって、環境を変えて学び直すことは決して逃げではなく前向きな選択肢です。
保護者の方も制度を正しく理解し、お子さんのペースに寄り添いながらサポートしてあげてください。これまでの単位や経験を活かしつつ、自分に合った学び方で高校卒業を目指しましょう。
この記事を書いた人

13歳からの進路相談 著者/ユイロ高等学院 学院長
1993年生まれ。福岡県福岡市在住。一児の父。株式会社ユイロ代表取締役社長。著書『13歳からの進路相談』シリーズは累計 16,000部突破。続々と重版されてロングセラーとなり、全国の学校や市区町村の図書館で多数採用されている。
学生時代は早稲田実業学校高等部を首席で卒業し、米国へ留学。その後、早稲田大学政治経済学部を卒業。やりたいことではなく偏差値を基準に進路を選び後悔した経験をきっかけに、大学在学中に受験相談サービスを立ち上げる。これまでに寄せられた中高生からの相談は10万件を超える。大学卒業後は教育系上場企業とコンサルティング会社で勤務。
2022年に株式会社ユイロ創業、代表取締役に就任。一人ひとりが自分らしい進路を選べる社会を目指し、「
ユイロ高等学院(通信制)」を創立。「学校のふつうをなくした選び直せる学校」を掲げ、全国の高校から転校生を受け入れ。高校卒業だけではなく、その先のキャリア支援も行っている。
著書:『
13歳からの進路相談(すばる舎)』、『
13歳からの進路相談 仕事・キャリア攻略編(すばる舎)』(紀伊國屋書店 総合週間ランキング 玉川高島屋店1位、新宿本店2位)
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