高校在学中に「このまま今の学校でいいのかな?」と悩むことは珍しくありません。
人間関係の悩み、引っ越し、学びたい分野の変更など、転校を考える理由はさまざまです。
13歳からの進路相談 著者
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本記事では、書籍『13歳からの進路相談』著者であり、通信制のユイロ高等学院 学院長の松下が、転校を検討している高校生本人や保護者の方から実際にいただいた「よくある高校転校の不安とその解消法」をQ&A形式で6つお伝えします。 |
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Q1. 転校するには今の学校を辞めないといけませんか?どんな条件や手続きが必要?
A1. いいえ、現在の学校を退学せずに転校手続きを進めることが可能です。在籍したまま別の高校の受け入れ許可を得て合格すれば、今の学校を辞めずに転校(転入学)できます。一度退学してから別の高校に入学し直すケース(編入学)もありますが、転校先が決まる前に今の学校を辞めることは基本的におすすめしません。
まずは今の学校の担任の先生や進路指導の先生にも相談し、保護者と一緒に情報収集を始めることが大切です。転校先の募集日程や手続きは学校や自治体によって異なるため、早めの行動を心がけてください。
一般的な転校手続きの流れは「高校を転校したいけど何をすればいい?転校の条件や手続きを解説」をご覧ください。
Q2. 私立と公立、あるいは通信制・定時制への転校もできますか?
A2. できます。現在通っている学校の種類にかかわらず、定員に空きさえあれば公立⇔私立、全日制⇔通信制⇔定時制といった異なる種類の高校への転校も可能です。ただし、それぞれ手続きや条件に違いがありますので注意しましょう。
私立から公立への転校:原則として受け入れ校に欠員がある場合に限り可能です。公立高校の場合、転入には原則として住所要件(その地域に居住)や特別な事情が求められることがあります。
公立から私立への転校:こちらも受け入れ先となる私立校に空きがあれば可能です。私立高校は公立に比べると転校生受け入れに柔軟なケースも多いですが、学校ごとに方針があります。まずは希望する私立校の募集要項を取り寄せ、転入試験の有無や時期を確認してください。
全日制から通信制・定時制への転校:比較的スムーズに転校できる場合が多いです。通信制高校や定時制高校は年間を通して転入生を受け入れる機会が多く、柔軟に対応している学校がたくさんあります。
ただし、通信制・定時制でも学校によって定員や入学時期が定められているので注意しましょう。
人気の通信制高校では年に数回(例えば4月・7月・10月など)の定期的な転入・編入時期を設定していることがあります。いずれの場合も、希望校には早めに問い合わせて募集状況を確認することが大切です。
Q3. 全日制高校同士の転校は難しいって本当?なぜそんなにハードルが高いのですか?
A3. 全日制(全日)高校から全日高校への転校は、確かに難易度が高いのが実情です。いくつか理由があります。
まず、受け入れ枠の問題があります。全日制高校はクラスメイト全員が同じ進度で一斉に進級する前提のカリキュラムのため、途中から新しい生徒を受け入れる設計になっていません。その結果、転校生を募集するのは定員に空きが出た高校に限られ、募集枠もごく数名のみというケースがほとんどです。希望者に対して募集人数が非常に少ないため、競争率が高く狭き門になります。
また、公立の全日制高校の場合、転校には「やむを得ない事情」が求められることが多い点もハードルの一つです。例えば公立同士の転校は原則「一家転住(家族そろっての引越し)」など特別な理由がないと検討されません。単に「今の学校が合わないから」という理由だけでは、自治体によっては公立校への転校が認められにくいのが現状です(いじめや健康上の問題など深刻な事情がある場合は配慮されることもあります)。
とはいえ、全日制同士の転校が不可能なわけではありません。実際に都道府県によっては転校試験制度が整備されており、欠員募集に応募して合格すれば転校できる仕組みがあります。特に家族の引越しなどの場合は、公立でもしかるべき手続きを踏めば受け入れ先を紹介してもらえることがあります。
全日制高校への転校に関しては「全日制高校へ転校したい!公立・私立の転校手続きや疑問点を解説」をご覧ください。
Q4. 転校するタイミングはいつが良い?年度途中でも間に合いますか?
A4. 転校は年度途中でも可能ですが、タイミングによってメリット・デメリットがあります。一般的には、学年の区切り(年度末や学期末)に合わせて転校するほうが単位の引継ぎや新生活への適応がスムーズです。
しかし、事情によっては待てない場合もあるでしょう。その場合でも受け入れ先さえ見つかれば転校はできますが、遅い時期の転校ほど卒業計画に注意が必要です(詳しくは後述します)。
ただし、通信制高校の多くは年度途中(10月や1月など)でも転入生を受け入れており、集中して学習することで短期間でその年度の単位を修得できる場合もあります。「もう遅いかも」と諦める前に、まずは相談してみましょう。
Q5. 転校したら今まで取得した単位はどうなりますか?全部引き継げるのでしょうか?
A5. 前の学校で修得済みの単位は、基本的に転校先で引き継ぐことが可能です。転校時には現在までの成績証明書(単位修得証明書)を発行してもらい、新しい学校に提出します。新しい学校ではその証明書に基づき、修得単位を認定するかどうかを判断します。
また、もし単位が引き継げなかったとしても、前の学校に通っていた(籍を置いていた)期間は「在籍期間」として引き継ぐことができます。卒業に必要な「3年間の在籍」にはカウントされるので安心してください。
ただし、「全ての単位が丸ごと引き継げる」とは限らない点に注意しましょう。転校先のカリキュラムとの対応を一つひとつ照らし合わせて認定されるため、科目の内容の違いによっては一部の単位しか引き継げないこともあります。
例えば前の学校で履修した科目が、転校先には存在しなかったり科目区分が異なったりする場合、そのままでは単位として認められない可能性があります。このあたりの判断は受け入れ先の高校次第ですので、気になる場合は事前に転校先に具体的に問い合わせて確認するのがおすすめです(多くの公立校では出願前に単位照合を行います)。
また、学年途中で転校する場合はその年に取得予定だった単位が引き継げない点にも注意が必要です。
Q6. 途中で転校しても同級生と同じタイミングで卒業できますか?卒業が遅れてしまうことはありますか?
A6. 適切な時期に転校し必要な単位を修得すれば、同級生と同じ年度に卒業することも可能です。しかし、転校のタイミングやこれまでの在籍状況によっては卒業時期が遅れるリスクも生じます。
高校を卒業するためには全国共通で以下の条件を満たす必要があります:
- 修得単位数:必修科目を含めて74単位以上を修得
- 在籍期間:高等学校に通算3年以上在籍(高卒認定試験等を除く)
- 特別活動:所定時間(原則30時間以上)の特別活動への参加(通信制の場合、レポート提出やスクーリングで充足)
適切な計画のもと転校すれば卒業時期は遅れずに済むはずです。実際、現在の学年の早いうち(高1~高2の前半)に転校できれば、多くの場合3年での卒業は充分可能です。不安な場合は転校先候補の学校に「自分は○○単位修得済みだが、今転校して卒業に間に合うか」を相談してみると安心です。
万一卒業が遅れるケースでも、高校を辞めてしまうより転校して続けることで確実に卒業資格に近づけます。焦らず着実に単位を積み重ねていきましょう。
この記事を書いた人

13歳からの進路相談 著者/ユイロ高等学院 学院長
1993年生まれ。福岡県福岡市在住。一児の父。株式会社ユイロ代表取締役社長。著書『13歳からの進路相談』シリーズは累計 16,000部突破。続々と重版されてロングセラーとなり、全国の学校や市区町村の図書館で多数採用されている。
学生時代は早稲田実業学校高等部を首席で卒業し、米国へ留学。その後、早稲田大学政治経済学部を卒業。やりたいことではなく偏差値を基準に進路を選び後悔した経験をきっかけに、大学在学中に受験相談サービスを立ち上げる。これまでに寄せられた中高生からの相談は10万件を超える。大学卒業後は教育系上場企業とコンサルティング会社で勤務。
2022年に株式会社ユイロ創業、代表取締役に就任。一人ひとりが自分らしい進路を選べる社会を目指し、「
ユイロ高等学院(通信制)」を創立。「学校のふつうをなくした選び直せる学校」を掲げ、全国の高校から転校生を受け入れ。高校卒業だけではなく、その先のキャリア支援も行っている。
著書:『
13歳からの進路相談(すばる舎)』、『
13歳からの進路相談 仕事・キャリア攻略編(すばる舎)』(紀伊國屋書店 総合週間ランキング 玉川高島屋店1位、新宿本店2位)
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