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そこは不登校の子が行くところでしょ。

5月13日の水曜日、福岡天神 蔦屋書店に併設するシェアラウンジで「13歳からの進路読書会」の第1回を開きました。

260514_福岡天神蔦屋書店 13歳からの進路読書会

(福岡天神の蔦屋書店、とても素敵な空間)

 

毎週水曜日、事前に本を読んでこなくていい読書会、というコンセプトで始めた場です。

初回は4人の保護者の方が集まってくださいました。

260514_福岡天神蔦屋書店 13歳からの進路読書会_2

(読書会の会場。最大7名まで座れる個室スペースです)

 松下 雅征(まつした まさゆき)

ドリンクや軽食を片手に、その場で本を一緒に読んで、ちょっと話す。1名でも申し込みがあれば開催する。そういうスタイルで、しばらくやっていこうと思っています。

▼13歳からの進路読書会 お申込み・詳細はこちら
 https://yuiro.org/event/book-club

 

そこは不登校の子が行くところでしょ。

この日、一番印象に残った言葉が、これでした。

参加してくださった、ある保護者の方が、長男(現在は大学生)が中学生だった頃のエピソードを話してくださって。

長男は、中学校に通えなくなった時期があり、お母さんがフリースクールを勧めたそうなんです。そのフリースクール、実際に体験してみると本人もとても楽しんでいた。元気に通えるなら、そっちでいいじゃない、と思いますよね。

でも、長男は最初、嫌がったそうなんです。

「そこは不登校の子が行くところでしょう」

と、言ったそうで。

これ、お母さんも、私も、ハッとした言葉でした。

子どもにも、ふつうの呪縛がある

不登校という状況に対して、社会のイメージはずいぶん変わってきたと思います。「無理に学校に行かなくていい」「フリースクールという選択肢もある」と、保護者の方の価値観もずいぶん柔らかくなってきている。

でも、その親の価値観が変わっても、子ども自身の価値観を変えるのは、すごく難しい

学校に通えていない自分のことを、子ども自身が「ふつうじゃない」と感じている。だから「不登校の子が行くところ」に行きたくない。自分を不登校だと認めたくない。ふつうの学校に戻りたい。そう思ってしまう。

これ、親が悪いわけでもないし、社会が悪いわけでもなくて、もっと深いところにある「ふつうであることへの願い」が、子ども自身を縛っているんですよね。

参加してくださった別の方も、こんなふうにおっしゃっていて。

「親が『こんな道もあるよ』『あんな道もあるんだよ』と言っても、結局なんか『それは私たちが言ってるだけやん』ってなる。もしそれが自分が好きな先生がとか、ちょっと自分より先行った人が『こんな道もあるんだよ』って言ってくれると、心がほぐれる時があるから、そういう人に早めに出会ってほしい」

これ、本当にそうだなと思って。

家族だと、距離感が近すぎるか遠すぎるか

私がユイロ高等学院だけじゃなくて、勉強を教えない家庭教師というサービスを始めた理由も、ここに繋がります。

家族だと、子どもとの距離感が、近すぎるか遠すぎるかの、どちらかになりがちなんですよね。

近すぎると「お父さんだから、お母さんだから、そう言うんでしょう」と言われて、言葉が届かない。遠すぎると、そもそも自分のことを話してくれない。

これ、専門性の問題じゃなくて、距離感の問題なんです。だから、家族じゃない第三の手が、どうしても必要になる。

「ここしかない」が、いちばんしんどい

人間って、「ここしかない」と思った瞬間に、ストレスが一気に強くなる生き物ですよね。

これは先週のブログ(学校だけに、相談しないでも書いたんですけど、東京大学の研究者で小児科医の熊谷晋一郎さんの言葉で、

自立とは、依存先を増やすことである。

というものがあって。

学校しか依存先がない子どもにとって、その学校に行けなくなるということは、世界がなくなるのと同じなんですよね。

 

この流れで、参加者の方が、こんなことを教えてくれました。

依存先は、3つあるといいって聞きました。何でもいいんですけど、3つあると心が安定するって。

なるほどなと思いました。学校以外に、家族以外に、3つ。地域の習い事、フリースクール、おばあちゃんち、SNSのコミュニティ、教会、ボーイスカウト。何でもいい。

ただ、ここで難しいのが、「依存先が3つあるといい」と頭でわかっていても、本人が「ここしかない」と思い込んでいると、その3つは依存先にならないということ。

フリースクールに行っても、本人の中で「そこは不登校の子が行くところでしょう」と思っている限り、そこは依存先になりきれない。よりどころに、ならないんですよね。

場所が変われば、人は変わる

それでも、と思える話を、もう一つ聞かせていただきました。

先ほどの長男さん(今は大学生)の、その後の話です。

中学では、結局フリースクールに通うようになって、それでも本人の中の葛藤はあったそうです。でも、高校進学のタイミングで、不登校経験者を多く受け入れている高校に進んだら、本当に人が変わったといいます。

たとえ40度の熱が出ても、

「インフルエンザじゃないなら、出席停止扱いにならないから、行く」

と言って、無遅刻無欠席で通いたいと願うようになった。

中学では昼夜逆転。全くしていなかった勉強も、自分から始めて、大学受験までして、今は大学生になっている。

 

これは、本に書いた『13歳からの進路相談 仕事・キャリア攻略編』のなかでも触れているんですが、

場所の影響力は、個人の努力よりもはるかに大きい。

ということを、改めて目の前で証明していただいた話でした。

 

答えを出す場ではなく、気持ちが前を向く場

読書会、ありがたいことに、後日参加してくださった方からアンケートやSNSで感想を寄せていただきました。

 

ある方が、こんなふうに書いてくださっていて。

不登校の保護者の方々と話す機会があまりなかったので、同じような境遇の方と話す事は気持ちを楽にさせると感じました。どうしても保護者は将来を考え、答えを出すことに焦ってしまいますが、今を大切にして、教えていただいた環境づくりをがんばろうと思いました。

 

別の方からも、こんな感想を。

学校に戻す前提で子どものことを考えるより、子どもの希望や笑顔でいられるようにすること、今を大切することがなにより大切なのかなと感じました。

 

お二人とも、独立に「今を大切にする」という言葉に辿り着いていらっしゃったのが、印象的で。

そして、参加してくださった整理収納アドバイザーの金子さん(@keaconhome)が、ご自身のインスタで、こんなふうに書いてくださっていて。

気持ちが前を向く読書会でした。

 

読書会は、何かの答えを出す場ではないんですよね。

「不登校なら、こうすべき」「進路は、こう決めるべき」みたいなことを、私が言うわけでもない。

ただ、同じような状況の方が集まって、本を一緒に読んで、それぞれの言葉で話して、聞いて、また考える。それだけです。

それだけなんですけど、気持ちが前を向く

これが、読書会の意味なのかもしれません。

 

毎週水曜日にやっています

13歳からの進路読書会、毎週水曜日11時から、福岡天神 蔦屋書店で開いています。

来週も、再来週も、その先も。一人でも申し込みがあれば、開きます。

不登校とか、進路のこととか、なんとなくモヤモヤしているんだけど、誰に話したらいいかわからない、という方がいらっしゃったら、ぜひ来てください。

福岡にお住まいの方も、出張で福岡に来る予定がある方も、ご家族で福岡に旅行に来るタイミングでも。

何か、気持ちが前を向くきっかけになれば、嬉しいです。


ここまでブログを読んでくれてありがとうございます。第1回、来てくださった4人の保護者の方、本当にありがとうございました。私にとってもはじめての読書会。ちゃんとうまくいくか、内心ドキドキで進行してました。嬉しい言葉をアンケートでたくさんいただけて、ほっとしています。


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この記事を書いた人

13歳からの進路相談 著者/ユイロ高等学院 学院長
松下 雅征/Matsushita Masayuki
13歳からの進路相談 著者/ユイロ高等学院 学院長

1993年生まれ。福岡市在住、一児の父。早稲田実業学校高等部を首席で卒業し、米国へ留学。その後、早稲田大学政治経済学部を卒業。偏差値のレールを走った学生時代。それでも消えなかったのは、漫画家になる夢を手放した中学時代の違和感。この原体験が、のちの起業の原点となる。教育系上場企業、コンサルティング会社を経て独立。「ちがいを、描け。」をミッションに掲げ、2022年に株式会社ユイロを創業。同年、 ユイロ高等学院を創立。2026年4月に月額定額型の新サービス「 家庭教師のユイロ」をリリース。「選び直せる学校」や「勉強を教えない家庭教師」を通じて、一人ひとりのちがいを起点に進路を描く新しい教育の文化づくりに取り組む。
慶應義塾大学名誉教授・武蔵野大学ウェルビーイング学部長である前野隆司教授との共同研究により、自律度を可視化する独自メソッド「ユイロ式自律度診断」を開発。
著書『13歳からの進路相談』シリーズ(すばる舎)は累計16,000部突破、全国の学校や図書館で多数採用。2作目『13歳からの進路相談 仕事・キャリア攻略編』は紀伊國屋書店 総合週間ランキングで玉川高島屋店1位、新宿本店2位を獲得。2026年5月29日にはシリーズ3作目『転校の教科書』を発売予定。
東京・世田谷で小中学生向けの無料プログラミング部活動を展開する一般社団法人セタプロ・代表理事を務める。
著書:『 13歳からの進路相談(すばる舎)』、『 13歳からの進路相談 仕事・キャリア攻略編(すばる舎)』、『 転校の教科書(すばる舎)