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高校の転校はいつまで?同じ春に卒業したいなら10月が節目

こんにちは、松下です。

転校ができるって思っておくだけでも、気持ちの余裕が全然ちがう気がします。

ポッドキャスト番組「不登校の進路相談ラジオ」で一緒に話している、舩山さんの言葉です。

私は転校の時期を説明していただけなのに、舩山さんが持ち帰ったのは「いざとなったら転校できる」という安心でした。

転校できると分かっていれば、今日学校を休むことが怖くなくなる。転校を決めていなくても、です。

9月に入ると、「いまから高校の転校って、できるんでしょうか」というご相談が増えます。文面はちがっても、焦りは同じです。動きたい。でも、いつまでに何をすればいいのか分からない。

今日は、その時期の目安を書きます。

 松下 雅征(まつした まさゆき)

結論を先に言うと、同級生と同じ春に卒業したいなら、10月が節目です。そしてこの目安は、転校を決めるためではなく、選択肢を守るためのものです。

この記事の内容は、「不登校の進路相談ラジオ」でも話しています。ながら聞きがわりに、よかったらどうぞ。

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通信制高校の入学者の約半分は転校生

時期の話の前に、数字を1つだけ見てください。

私立の通信制高校に1年間で入学した人のうち、53.4%は転入学・編入学、つまり転校生です(※1)。
新入生より、転校生のほうが多い。
そして転校生の83.8%は、全日制の高校から移ってきています(※1)。

「うちの子だけ、途中で学校を変えることになってしまった」と感じている親御さんは多いです。数字で見ると、全日制が合わなくて年度の途中で通信制に移るのは、いまや入学の王道ルート。「うちの子だけ…」と思わなくて大丈夫です。

「辞めるしかない」の思い込みが転入を編入に変える

高校で行けなくなったら、もう辞めるしかないと思っていました。

これも舩山さんの言葉です。お子さんが通信制高校に通っている保護者の方でさえ、そう思っていたそうです。

悪いのは親御さんでも、お子さんでもありません。一方で、「高校で行けなくなったら、辞めるしかない」という思い込みが、次の一字のちがいを生みます。

  • 転入:いまの学校に籍を置いたまま、次の学校へ移ること。在籍が途切れません。いわゆる「転校」はこちらです。

  • 編入:退学してから、あらためて入り直すこと。退学から入学までに、空白の期間ができます。

高校卒業の条件の1つに「在籍期間3年以上」があり、空白の期間は在籍として数えられません。

空白が数か月あるだけで、同級生が卒業していく春に、在籍期間があと少し足りない、ということが起こります。

過去のブログ(「高校を辞めたい」と思ったら。退学の前に、転校先を決める)で、「籍を残したまま、転校先を探す」という順番の話をしました。

あの順番は、転入の道を残すための順番でもあります。

辞めてから探すと編入になり、探してから移ると転入になる。

同じ春に卒業したいなら10月が節目

時期を考える前に、親子で確認してほしいことが1つあります。
声のかけ方は、これだけです。

いまの同級生と同じ春に卒業したい?

私たちが転校の相談で最初に聞く質問と同じです。
「はい」でも「そこは気にしない」でも、どちらでも大丈夫。答えによって時期の目安が変わるので、先に聞きます。

同じ春に卒業したい場合。
多くの通信制高校は、年度の途中でも転入を受け入れています。ただし、その年度の分の単位を取り切るには時間が要ります。私が経営しているユイロ高等学院(通信制)では、(もちろん個人差はありますが)1年分の学習におおよそ4か月ほどかかる生徒が多いです。転入の手続きのあと、教材が届いて学習が立ち上がるまでの時間も考えると、年度内に取り切れるスタートラインは、だいたい10月。

だから「10月が節目になります」と、ユイロとしては伝えています。

もう1つ、見落とされがちな工程があります。転校には、いまの学校に書類を作ってもらう手続きがあり、学校にもよりますが、だいたい1~2週間ほどかかります。

逆算すると、10月の転入には、9月のうちに家庭で方針を話し合い、学校へ書類をお願いする。夏休み明けのいま話し合えていれば、10月の節目に乗れる可能性が高くなります。

ユイロ高等学院にも、毎年10月ごろ、「ギリギリまで頑張って、限界が来ました」というご相談が届きます。その中には、あと1か月早く動けていたら同級生と同じ春の卒業を目指せた、という2・3年生が毎年います。本人や親御さんが悪いのではありません。この時期のルールが、ほとんど知られていないことがいちばんの壁です。

なお、2年生・3年生は前の年度までの単位の状況で条件が変わるなど、細かいルールは学校ごとにちがいます。気になる学校が見つかったら、「うちの場合、同級生と同じ春に卒業できますか」と個別に確認してください。

この質問に具体的に答えてくれるかどうかは、学校選びの目安にもなります。

10月までに転校できると思えていれば、無理して行かなくていい

冒頭の舩山さんの言葉に戻ります。なぜ「転校できると思っておくだけ」で、気持ちの余裕が変わるのか。

ユイロ高等学院の場合、10月までに転入すれば、いまの学校の出席日数にかかわらず、同級生と同じ春の卒業を目指せます。(条件は学校ごとにちがうので、この点も個別に確認してください。)

つまり、いざとなったら10月までに移ればいい、と思えていれば、いまの学校に無理して通う理由が1つ減ります。

休みたい日に休んでも、選択肢は減らない。

転校の時期を知ることは、転校を急ぐためではなく、いまを楽にするためにあります。

では、10月の節目を過ぎたら手遅れなのか。そんなことはありません。

1・2年生なら、12月以降の転入でも、それまでの出席状況などの条件しだいで、同じ春の卒業を目指せる場合があります。

3年生の秋以降の転入は、卒業が半年ほど後ろにずれることが多くなります。

個人的には、高校卒業に3年以上かけるのも「ぜんぜんあり」だと思います。卒業が後ろにずれることは、失敗ではありません。

大事なのは、期限を知らないまま選択肢が減ってしまうことと、知ったうえで自分のペースを選ぶことは、まったくちがう、ということです。

同じ春に卒業したいなら、9月に動きはじめる。自分のペースでいくなら、じっくり探す。知ったうえで選んだなら、どちらもその子の正解のはず。

探すのは早く、決めるのはゆっくり

探すことと、決めることは、別です。

10月の節目は、転校を決める締切ではありません。

「いざとなったら、ここに移れる」という状態を、選択肢として手元に置いておくための目安です。情報だけ先に集めて、移るかどうかは、それから決めればいい。

ユイロ高等学院にも、この時期、転校のご相談がたくさん届きます。相談に来て、話して、結局いまの学校に通い続けることを選んだ子もいます。転校しないという結論も、私たちは応援しています。だから相談は、転校を決めてからでなくていい。

学年別・時期別のくわしい仕組みは、『転校の教科書』にもまとめています。
転校する人のための本というより、転校しない人も「こんな選択肢がある」と知っておくと気持ちが楽になる、という本です。

2学期が始まったいま、「間に合うんだろうか」と焦っている親御さんへ。まずは、「同じ春に卒業したい気持ちはある?」と、お子さんに聞くところからはじめてください。10月の節目は、あなたを急かす締切ではなく、選択肢を守る目安です。


ここまでブログを読んでくれてありがとうございます。この記事を読んで、焦っている親御さんもいらっしゃると思います。ユイロに相談してくださる親御さんとのやり取りが、この記事の起点にもなっています。

親御さんから見ると、子どもは動く気配がないように見えるかもしれません。ユイロの無料体験で初めて会う生徒たちも、最初は同じです。でも話を聞いてみると、「追いつきたい」「環境を変えたい」「勇気がない」と、親御さんには話していない言葉を持っていることがあります。いつ動くかは読めません。それでも、ちょっとしたきっかけで「動こう」となるケースは多いです。

無理に動かしてしまうと、納得しないまま進むことになり、あとから後悔するケースもあります。だからこそ、急かさず、選択肢だけを手元に置いておく。10月の節目は、そのための目安です。


※1 全国私立通信制高等学校協会「私立通信制高等学校実態調査」(2024年12月公表。文部科学省「学校基本調査」に基づく集計)。年度間入学者に占める転入学・編入学の割合53.4%、転入学者のうち前籍が全日制課程の割合83.8%。

この記事を書いた人

13歳からの進路相談 著者/ユイロ高等学院 学院長
松下 雅征/Matsushita Masayuki
13歳からの進路相談 著者/ユイロ高等学院 学院長

1993年生まれ。福岡市在住。一児の父。早稲田実業学校高等部を首席で卒業後、米国へ留学。早稲田大学政治経済学部卒業。偏差値の一本道しか知らなかった学生時代。漫画家になる夢を手放した当時の違和感が、のちの起業の原点となる。教育系上場企業、コンサルティング会社を経て、2022年に株式会社ユイロを創業。「100点の正解より、100%の納得を。」をモットーに、全国から転校できる通信制高校サポート校「 ユイロ高等学院」、月額定額のオンライン教育サービス「 勉強を教えない家庭教師」などを展開。
慶應義塾大学名誉教授・武蔵野大学ウェルビーイング学部長である前野隆司教授との共同研究により、自律度を見える化する独自のキャリア教育メソッド「ユイロ式自律度診断」を開発。
著書『13歳からの進路相談』シリーズ(すばる舎)は累計1.8万部超、全国の学校や図書館で多数採用。2作目『13歳からの進路相談 仕事・キャリア攻略編』は紀伊國屋書店 総合週間ランキングで玉川高島屋店1位、新宿本店2位を獲得。2026年5月にはシリーズ3作目『転校の教科書』を発売。
東京・世田谷で小中学生向けの無料プログラミング部活動を展開する一般社団法人セタプロ・代表理事を務める。
著書:『 13歳からの進路相談(すばる舎)』、『 13歳からの進路相談 仕事・キャリア攻略編(すばる舎)』、『 転校の教科書(すばる舎)