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学校に行きたくないのは甘え?合わないのは努力不足ではなく相性

こんにちは、松下です。

「沼地でのサボテン」「砂漠のハス」といった例えや、大人の転職との比較は分かりやすく、環境との相性の大切さがよく伝わってきました。

教職歴40年、いまは東京都北区の教育長を務める福田晴一さんから届いた、『転校の教科書』の感想文の一節です。

学校教育の現場から管理職まで、さまざまなご経験を持つ方が真っ先に挙げてくださったのは、子どもの努力でも学校の指導でもなく「相性」でした。

 松下 雅征(まつした まさゆき)

合わないのは、子どもの努力不足でも、学校の落ち度でもなく、組み合わせの問題ではないか。そんな考えのもとで『転校の教科書』を書いたのですが、教職歴40年の教育長が共感してくださいました。とても嬉しかったので、なぜこの考えに至ったのか、教育長の感想文を引用しながら、お話しします。

合わないのは、努力が足りないからではない

転校しても、また同じことになるんじゃないか。

転校が頭をよぎった親御さんの相談や、転校を扱う記事で、くり返し出てくる心配です。
私も、転校すれば何もかもうまくいくとは考えていません。ただ、この心配の奥には「原因がうちの子の側にあるなら、どこへ行っても同じ」という問いが隠れているように思うんです。

子どもが学校に行き渋りはじめると、親御さんは原因を探しはじめます。
クラスの人間関係なのか、先生との関係なのか。それとも、本人の我慢が足りないのか。

関連情報を調べていくと、大きく2つの説明に行き着くことが多いです。
「原因が学校にあるなら転校は効く。本人の側にあるなら、転校しても繰り返す」という説明。「学校に行きたくないのは甘えではない。本当の理由を見つけてあげて」という説明。
いずれの説明も、原因がある。どこにあるかを見極めよう。というものです。

でも、ここで手が止まる親御さんは多いと思います。
理由を聞いても、子どもは「わからない」と言う。本人にも言葉にできないことを、親御さんが外から見分けるのは難しい。
原因探しは、続けるほど誰かを責める形になっていきます。子どもか、学校か、育て方か。

私は、原因がどちらの側にもないことがある、と考えています。

サボテンは沼地では育たない

そう考えるようになったのは、自分の高校時代がきっかけです。

私はいわゆる難関校と呼ばれる高校を、首席で卒業しました。
こう書くと優秀な生徒に聞こえますが、模試の点数はお世辞にも良いとは言えず、授業中に内容を理解できないことのほうが多いくらいでした。頭の回転が速い友人に、正直、嫉妬もしていました。
それでも成績が良かったのは、コツコツ積み上げる私の持ち味が、たまたま学校の評価のルールと合っていたからです。ひらめきと短期決戦が評価される学校だったら、結果は逆だったと思います。

『転校の教科書』では、このことを植物にたとえました。

乾いた砂漠でたくましく育つサボテンを、水のたっぷりある沼地に植え替えたら、どうなるか。どれだけ根性を見せても、根腐れを起こして枯れてしまいます。
逆に、水辺で咲くハスを砂漠に植えたら、すぐに干からびる。
枯れたサボテンに「努力が足りない」と言う人は、たぶんいません。土が合わなかったね、と考えるはずです。

ところが、人間のことになると、私たちは土ではなく本人を責めてしまいがちです。
私は10代のころ、たまたま土が合ったサボテンでした。
育つかどうかを決めるのは、種の良し悪しではなく、種と土の組み合わせだと思っています。

教職40年・北区教育長も「環境との相性」に共感

冒頭で一節を紹介した福田さんの感想文を、ここで紹介させてください。

『転校の教科書』を読んで

とても読みやすくて、一気に読ませていただきました。特に、「沼地でのサボテン」「砂漠のハス」といった例えや、大人の転職との比較は分かりやすく、環境との相性の大切さがよく伝わってきました。また、日本と欧米の学校文化を「がまんOS」と「選択OS」で表現している部分も印象的でした。教育制度や自治体ごとの支援策、フリースクールへの助成制度など、詳細に調べられていて、その情報量にも驚かされました。何より、転校という選択肢があることで子どもや保護者が安心できること、そのセーフティネットとしての意味を改めて考えさせられました。是非、登校渋り、不登校傾向の保護者は一読してもらいたいと思いました。

「不登校」という教育課題を、子どもの学びや成長過程と捉えるなど、新しい視点をたくさんいただける一冊でした。

(福田晴一さん・教職歴40年)

先生の側から見ても、合う合わないはある。感想文を読み返して、あらためてそう受け取りました。

我慢が美徳に見えるのは、ガマンOSがあるから

福田さんが印象に残ったと書いてくださった「がまんOS」と「選択OS」も、相性の話につながっています。

転校本では、日本の学校の考え方を「ガマンOS」、アメリカの学校の考え方を「選択OS」と呼びました。
ガマンOSの上では、合わない場所で耐え抜くことが評価されます。選択OSの上では、合う場所へ移ることが前向きな選択として扱われます。

大人の世界は、すでに入れ替わりはじめています。
合わない会社から移ることを、いまは「転職」や「キャリアアップ」と呼びます。それなのに、子どもが学校を変えると「逃げ」と呼ばれやすい。
同じことをしているのに、子どもにだけ古いOSが残っているように見えます。

先生方も親御さんも、悪くないと思っています。
みんな、ガマンOSの上で善意から「もう少し頑張ってみよう」と声をかけている。
苦しさをつくっているのは誰かではなく、「合わなくても耐えるのが正しい」という思い込みのほうです。

相性だとわかると、誰も責めなくてよくなる

合わない理由を組み合わせで見ると、責める相手がいなくなります。
子どもの努力不足でもなく、学校の落ち度でもなく、親御さんの育て方のせいでもない。組み合わせが合っていないだけです。

組み合わせで見るなら、子どもへの聞き方も変わります。
「なんで行けないの?」と理由を聞くかわりに、
「どんなときなら、少し楽?」と、条件を聞いてみてください。

朝の時間、教室の人数、決まりごとの多さ、先生との距離。楽になる条件が見えてくると、その子に合う土の形が少しずつわかってきます。

土を変える方法は、転校だけではありません。時間の使い方や、学校の外の居場所のように、学校を変えずに変えられる土もあります。転校は、そのなかの選択肢の1つです。

「転校しても、また同じことになるんじゃないか」。同じになるかどうかは、どんな土なら育つのかを知っているかどうかで変わる、と私は考えています。

選べる状態であることが、親子の安心につながるはずです。


ここまでブログを読んでくれてありがとうございます。転校する、しないに関わらず、「転校できる」と思えることが、不安を少し和らいでくれるはず。そんな想いで転校本を書いていますが、とはいえ、調べれば調べるほど、転校先の選択肢には、地域によって偏りがあるのが実情。ユイロがオンライン特化で「家庭教師」や「高等学院」を展開するのは、すべての子どもたちに届けたい!という気持ちがあったからなんですが、とはいえ、リアル校舎がいい子どもたちもいるわけで。ここはいずれ、ユイロで解決したい課題の1つです。

この記事を書いた人

13歳からの進路相談 著者/ユイロ高等学院 学院長
松下 雅征/Matsushita Masayuki
13歳からの進路相談 著者/ユイロ高等学院 学院長

1993年生まれ。福岡市在住。一児の父。早稲田実業学校高等部を首席で卒業後、米国へ留学。早稲田大学政治経済学部卒業。偏差値の一本道しか知らなかった学生時代。漫画家になる夢を手放した当時の違和感が、のちの起業の原点となる。教育系上場企業、コンサルティング会社を経て、2022年に株式会社ユイロを創業。「100点の正解より、100%の納得を。」をモットーに、全国から転校できる通信制高校サポート校「 ユイロ高等学院」、月額定額のオンライン教育サービス「 勉強を教えない家庭教師」などを展開。
慶應義塾大学名誉教授・武蔵野大学ウェルビーイング学部長である前野隆司教授との共同研究により、自律度を見える化する独自のキャリア教育メソッド「ユイロ式自律度診断」を開発。
著書『13歳からの進路相談』シリーズ(すばる舎)は累計1.8万部超、全国の学校や図書館で多数採用。2作目『13歳からの進路相談 仕事・キャリア攻略編』は紀伊國屋書店 総合週間ランキングで玉川高島屋店1位、新宿本店2位を獲得。2026年5月にはシリーズ3作目『転校の教科書』を発売。
東京・世田谷で小中学生向けの無料プログラミング部活動を展開する一般社団法人セタプロ・代表理事を務める。
著書:『 13歳からの進路相談(すばる舎)』、『 13歳からの進路相談 仕事・キャリア攻略編(すばる舎)』、『 転校の教科書(すばる舎)』